Geranium の繁殖方法

Geraniumは播種・挿し木・株分けによって増殖が出来ます。ただし、ハイブリッド品種では有性機能が失われてしまい(雌しべ・子房の退化未発達)種が出来ない品種が存在します。この場合は種蒔きからでは無くて挿し木・株分けのみの増殖となります。 また、株の形状がブッシュ状で柔らかく育つ物の多くは茎の節々に蕾を付けるので、このようなゲラニウムは挿し木が事実上不可能な場合もあります。



Geranium 挿し木・株分け

・・・・・ゲラニウムの株分け・・・・・

1・2年草タイプのゲラニウムでは不可能な増殖方法ですが、その他の宿根草タイプのゲラニウムでは一番確実な繁殖方法でしょう。
数年育てて大株に成った物は株分けが簡単です。冬季の休眠中の株を掘り起こして根を丁寧にほぐすと自然に数株に分かれます。それを一株ずつ植えなおせば完了です。
株分けの時期は暖地でしたら秋、春の新芽が出る前後の時期が最適です。寒冷地では秋に株分けをしてしまうと根付かないまま冬季を向かえてしまいますので、下手をすると丈夫な筈のゲラニウムがそのまま枯死してしまいますので、春の新芽が出る前後が良いでしょう。

ですが、ゲラニウムは根をいじられてもかなり平気ですので、生育中・開花中の物でも株分けは可能です。この場合は株の増殖と言うより、時期外れに知り合いに株を譲る場合に行う方法です。
その場合は、庭植えの物は掘り起こさずに植えたままの状態で、先が鋭利な移植ゴテで株分けをしたい株の間にザックと差し入れます。そうしてから成るべく根に土がついている状態で株を分割したい側からシャベルで掘り起こします。簡単に株が割れますので掘り起こした方をご友人にお譲りください。この場合の注意は全ての株を掘り起こさない事。ご自分が育てる分はそのまま庭植えの状態にする事です。
この時に、根が無いまま切れてしまった枝、株が出る事があります。それは破棄しないで下さい。 挿し木によって簡単に根が再生します。

・・・・・ゲラニウムの挿し木・・・・・

ゲラニウムは挿し木がとても簡単です。
株分けの際に切れてしまった枝(成長点がついて入る物のみ可能)根が無いままの根茎で株が分かれてしまった物を利用して挿し木を行います。
また、意図的に増殖をするのであれば、成長点のある枝を切りとって挿し木を行います(花芽しかない枝は挿し木しても成長点がありませんので根が発生しません)
根が無いままの根茎の物でしたら、そのまま挿し木床に・・・・・
切れた枝、切った枝は切り口を鋭利な刃物で切り直して調整を行います。
挿し木に使う用土は「通気性」が決め手です。鹿沼土・火山灰の単用もしくはそれらを混合した物。バーミキュライト・パーライトそれぞれ5割の配合用土などが適しています。普通の培養土は通気性が悪く挿し木した物が腐ってしまうので使用しないで下さい。また挿し木したゲラニウムの根は太くてみずみずしいので、挿し木床からばらす際に根に絡まらない用土で発根した根を痛めずに取りせることが条件になります、そう言った点でも普通の培養土は適していません。

上記の挿し木床に挿し木しましたら「日の当たらない涼しい場所」にて管理してください。早くて1週間程で根発生します。おおよそ2週間程しましたら移植できるほど根が発生していますのでポットなどに鉢上げして下さい。



Geranium 種蒔き方法

ゲラニウムの種蒔きは一般に情報が無く、そのまま種蒔きをしても発芽しないことが多く「超難物」扱いされています。
ですが、ちょっとしたコツで簡単に発芽させる方法がありますので、お教え致します。

手順としては、
1・種の殻をとる(殻付きじゃない物は、この手順は飛ばしてください)
2・種の背に傷を付ける(表皮処理)
3・傷を付けた種を1晩水につけて吸水させる(吸水処理)
4・上記の処理をした種を常温で管理する(20度前後が適しています)

多くのゲラニウムの自然下での発芽の仕組みは、種が冬を経験してから春に発芽する。と言うふうに知られていて、その条件を作り出す「冷蔵処理」が有効とされていましたが、この方法では発芽にバラツキが出てしまいますし、ゲラニウム自体の発芽までの期間は数ヶ月〜数年とかなり長くかかってしまいます。そんな理由で、種蒔きからの増殖は不安定な部分が大きく、その為「難物」扱いをされていました。
しかし、上記の「表皮処理・吸水処理」の2つを行うと簡単に発芽します、品種によって発芽率・発芽までの期間に違いはありますが、もともと発芽が簡単な物はほぼ100%の発芽でスピーディに発芽。発芽がかなり困難な品種でも20〜40%の発芽率で1〜3ヶ月ほどで発芽します。

種蒔き用土は、バーミキュライト60%・ピートモス20%・パーライト20%の混合用土が良いでしょう。覆土はバーミキュライトで5〜8mmくらいかけて下さい。

・・・・・[注]・・・・・ 表皮処理の際に傷を付ける際は、種をピンセットなどで挟み紙やすりにこすって下さい。1回こする度に確認しながら作業をして下さい。うっかり力を入れ過ぎてしまったり回数が多いと種の半分が削れてしまうと言う事になりかねません。種の背を見分けるポイントとしては種に「へそ」がありますのでその「へそ」がある部分が種の「腹」反対側が「背」になります。傷を付ける範囲は1mm程でOKです、「ちょっと中身が見えるくらい」が適当です(間違っても中身をまで削らないように)

私が経験したゲラニウムの種蒔きでおおよその条件が分かっている代表的なゲラニウムを下記に記します。

・・・・・処理後、18〜23℃で発芽が良好な物・・・・・

Geranium pratense
Geranium clarkei
Geranium pyrenaicum
Geranium ibericum
Geranium palmatum
Geranium transbaicalicum
Geranium caffrum
Geranium transbaicalicum
Geranium sessiliflorum var Nigricans
Geranium incanum
Geranium asphodeloides
Geranium albanum
Geranium OH my god pass
Geranium sp Silver Shadow
 

・・・・・処理後、15〜18℃で発芽が良好な物・・・・・

Geranium sanguineum の園芸品種(基本種はこの温度では発芽しない)
Geranium phaeum
Geranium sylvaticm
Geranium wallichianum
Geranium harveyi
Geranium aristatum
Geranium bohemicum
Geranium regelii
Geranium yesoense
Geranium soboliferum
Geranium yoshinoi
Geranium thumbergii


・・・・・処理後、13〜15℃で発芽が良好な物・・・・・

Geranium sanguineum(原種)
Geranium macrorrhizum
Geranium psilostemon
Geranium platyanthum
Geranium palustre
Geranium eriostemon
Geranium erianthum


・・・・・処理後、2〜3ヶ月冷蔵処理が必要な物・・・・・

Geranium oxonianum
Geranium nodosum

冷蔵処理の場合は表皮・吸水処理後の種をパーライトと一緒にジップ付きのビニール袋に入れ、種や球根用の「殺菌剤」で潅水します。余計な水分は流し捨ててから封をしてから冷蔵庫で「冷蔵処理」をします。冷蔵中に発芽しますので3週間を過ぎたらこまめにチェックをして下さい。発芽した物は順次取り出して鉢などに蒔き直してください。



Geranium 採種について

・・・・・ゲラニウムの花の仕組み・・・・・

一般的にゲラニウムは「採種しづらい」と言われています。
それは、多くのゲラニウムがなるべく自分の遺伝子だけで繁殖しないように、別の個体の遺伝子を取り込んで繁殖するように花自体の生態が発達しているからです。
また多くのハイブリッド品種も有性生殖機能を失っている物がありますので、それも「採種しづらい」理由の一つになっています。

詳しく説明しますと、先ず開花後、数時間〜1日程で雄しべの葯が発達してきて花粉が生成されます。この段階では雌しべは発達していません。この時期を「雄性期」と呼びます。
そして雄しべが発達した状態で1〜2日程で雌しべが開いてきます。この時期を「両性期」と呼びます。この段階では雌しべに受粉能力がありません。
「両性期」から半日〜1日程経つとようやく雌しべに受粉能力が出てきます。しかしこの段階では、既に花粉及び雄しべの葯自体が落ちてしまい自家受粉が出来ない仕組みになっています。この時期を「雌性期」と呼びます。

なかには、この「両性期」が全く存在しない品種もあり、ことさら自然に任せていては種が殆ど採種出来ない場合があります。そんな品種は人工受粉をして受粉を助けてあげると上手く行けば沢山の種が採種出来る場合が多いです。
また、気温が高いと雄しべの発達が早いので「両性期」を持つゲラニウムでも両性期が無いまま「雌性期」に突入してしまう場合が多いので、この場合も採種しづらくなります。
ですが、上記の「雄性期・雌性期」に当てはまらないゲラニウムも存在します。この場合は花粉が残った状態で雌しべの発達が早い品種です。あえて言葉を作るなら「受粉可能な両性期」を持つゲラニウム、と言う事になるでしょう。このように簡単に自家受粉する品種も存在しています。私が育てているゲラニウムの中でピレネカム種とボヘミカム種はこの分類になるようでサクサク種が採種出来ます。
・・・・・[注]・・・・・
ハイブリッド品種で雌しべ・子房の構造未発達など有性生殖機能が失われてしまったゲラニウムは人工受粉しても種が出来ません。ごく稀に数輪完全花を咲かせる場合がありますので、その場合は運がよければ数粒種が出来ます(完全花を見分ける術はありません)

・・・・・ゲラニウムの人工受粉・・・・・

自家受粉しづらいゲラニウムの種を採取するには「人工受粉」が有効です。
花が順に沢山咲いているゲラニウムでしたら、そのまま「雄性期」の花の花粉を「雌性期」の雌しべに付けてあげるだけです。とっても簡単ですね。
しかし、花数が少ない品種などは花粉が出ていても雌しべが発達していない、もしくは雌しべが発達していても花粉が無い。と言う場合も少なくは無い筈です。せっかく、人工受粉をしようにもこれでは為す術がありません。
そんな品種のゲラニウムは「雄性期」の最中に花粉を出している葯を採取してジップ付きの小型のビニール袋に入れて冷蔵庫で保存してください。1週間程は受精能力が落ちずに保存できます。そして雌しべが開いた頃に雌しべにの先に保存していた花粉を付けてあげればOKです。

人工受粉の際の注意なのですが、他の花の場合では「綿棒」使われる方が多いのですが、ゲラニウムの雌しべは他の植物と比べてしなやかではありませんのでちょっとした不注意ですぐ折れてしまいます。ですから葯をピンセットなどで挟み優しく受粉して下さいね。

ゲラニウムは1花に付き、子房を5つ持っているのでうまく受粉すれば一つの花から5粒の種が採種できます。株の栄養状態・環境などによっても受粉後に子房発達中になんらかの障害が起きて、一つも種が入っていないと言う事もあります。
また、ハイブリッド品種などで種が出来ない品種でも開花後に子房の先がどんどん伸びてきて、さも種が出来ているように見える物も多々存在します。受粉能力はないものの、花粉の刺激(擬似受粉)によって、ある程度の発達があるからです。
人間に例えると「想像妊娠」みたいな物ですね。

・・・・・採種のタイミング・・・・・

折角、種が出来ても採種のタイミングを逃してしまうと、種のさやが弾けてしまい種がどこかへ飛んでいってしまう、と言う事になりかねません。
ましてや、人工受粉をした物の種がどこかへ飛んで行ってしまったら折角の苦労が水の泡になってしまいますね。
おおよそのタイミングは、種の鞘の「くちばし」の部分が茶色く色付いてきたらOKです。このようになったらガクをそっと開いて見てみましょう。きちんとくちばしの部分から種にかけてのラインが黒く色付いていましたら、もう採種OKです。まだの物はあと1〜2日待てば採種OKになります。種のガクの部分までが茶色くなってしまうまで待ってしまうとほんの数時間のタイミングでくちばしの部分が裂けてしまい種が弾け飛んでしまいます。

種の鞘の先を「くちばし」に例えていますが、これはゲラニウムの名が「種の鞘の形が鳥のくちばしに似ている」理由からきています。"geranium"の意味は「ツルのくちばし」と言う意味なのです。
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